保有効果という言葉を聞いて、一番当てはまる思うテレビ番組は次のうち、どれでしょう?
1. 相棒Season20(テレビ朝日系) 2. しゃべくり007(日本テレビ系) 3. 世界の果てまでイッテQ!(日本テレビ系) 4. ひるおび!(TBS系) 5. 開運!なんでも鑑定団(テレビ東京系)
この効果がよく見られるのが、「開運!なんでも鑑定団」 その出演者たちの中でも、コレクターといわれる人たちにこの傾向が強いだろう。
見るからに価値があるとわかるモノもあれば、これはもらってもいらない、家族にとっては邪魔でしかないというモノが、鑑定団ではよく出てくる。ボロボロで古くも、人にとって価値がなくとも、自分にとっては価値があるものだし、値段をつけろと言われれば高値をつけたくなるだろう。
他にも、その品に興味がなかった、処分しよう、お金に変えて他の目的に使おうと思っていた出演者の中で、予想以上の値段がついたり、相手が熱烈に要望したりすると、自分の中では手に入れているモノの価値が上がったように感じ、手放すのが惜しくなるというシーンをよく見かける。
ゆえに、いつでも誰でも簡単に手に入るようなモノに対して保有効果が生じるとは考えにくい。 また自分では価値がないと思ったものの、他人に欲しいと言われると手放したくなくなるなどの現象は、親族に貰った、借金のカタに渡された、相続した、家に代々伝わるなど、それを所有することになったエピソードや年月が関係すると思われる。
所有意識や自分が選んだもの、自分が手に入れたモノという自分とのつながりや自己肯定や愛着が強く影響しているため、手放すことに抵抗を感じやすくなると考えられる。
そのため保有効果が見られやすいのは取引や交渉の場が多く、上記のような心理が働くため、値段が折り合わなくなったり、譲ってしまうと損をすることになるのではという気持ちが生じ、相手との交渉がスムーズに進まず摩擦を生じる原因となりやすい。
保有効果は経営学や経済学でも研究されている。
経営学・経済学の研究の一例を上げる。
RIETI・独立行政法人経済産業研究所のノンテクニカルサマリー、2012年度「保有効果と貿易政策に対する選好」
「保有効果に強く影響されている個人ほど統計的に有意に強く輸入自由化に反対する傾向がある」という推定結果が出されており、現状維持につながり、自由貿易への政治的支持が高まらない要因の1つと解釈されている。高学歴層ほど、保有効果に左右されにくいという傾向もこの調査で確認されている。