文春オンラインに『ビッグモーターの新社長は謝罪会見で兼重宏行前社長(71)をなぜ褒めた? 臨床心理士が見つけた”歪んだバイアス”とは…言葉と仕草を徹底分析』という記事を書かせてもらいました。
掲載は8月2日。公開すぐから多くの方に読んで頂きました。ありがとうございます。
記事の概要については、文春オンラインをお読みください。
https://bunshun.jp/articles/-/64733?page=2
おそらく2023年度の会見でワーストランキングに入ると思われるほど、酷い会見でしたよね。なので会見直後から、ネットで炎上、あちこちから批判が殺到。 では何がそれほど酷かったのか、というところを、前社長と後任の新社長の言動や仕草などから分析したのが、この記事です。
見えてきたのは、彼らの中にあるいくつかのバイアス!
最も特徴的なのは「自己奉仕バイアス(セルフサービングバイアス)」 ざっくり言ってしまえば、成功は自分のおかげ、失敗は誰かのせいと考える心理的傾向で。上司にこういうタイプがいると、職場は最悪ですよね。
次に見えてきたのは「ミルグラム効果」 善良で平凡は人間でも、権力者や権威者に命令されると、非人道的な行為にも手を染めることがあるという心理的傾向です。社長の一言で人事が決まる、なんて組織だと、下にいる人間は嫌でもこの傾向が強くなる。上には絶対服従のイエスマンが多くなってしまいます。で、こうなるともう組織改革は困難です。
ビッグモーターのパワハラ体質にも、この効果が大きく働いていたんでしょう。その頂点にいたのが兼重親子。
ではなぜ彼らの心理的傾向が、ここまで会社の中に浸透したのか?
それはこの会社が、株主がオーナー社長という同族企業だったため。 所有と統治、経営が同一人物であれば、コンプライアンスの問題が生じても体質を変える必要はゼロ。株主の利益=経営者の利益=オーナー家族の利益です。
オーナー経営者にたてつけば、ましてこの会社はすぐに降格されるような組織。意見を言うことすらはばかられたでしょう。
新社長になっても、オーナーはそのまま。そして新社長は前社長のリーダーシップと経営手腕をほめたたえた人物。それでもビックモーターは変われるのか?
たぶん業績悪化で、そのうちどこかに。そんな予感がしています。