対人距離に関する心理学用語

 

ここでは対人距離に関する心理学用語とその意味についてまとめている。対人距離には物理的距離と心理的距離の2つがあり、この2つは相互に関係しあって対人関係のコミュニケーションに影響を与えている。対人距離には個人差があり、その場の状況、環境、男女差、年齢差など様々な要因に影響される。

 

パーソナル・スペース

パーソナル・スペース

人は自分の体を中心として、そのまわりに自分だけの空間を持っている。それ以上、他人が近づいてくると不快に感じる限界の距離があり、その空間に侵入されると不快に感じるスペースがある。それがパーソナルスペースであり、心理的な縄張りでもある。パーソナルスペースには個人差があり、相手との関係やその場の状況、環境に応じて変化する。

一般的には相手との距離はすべてパーソナル・スペースとして知られているが、快適と感じる距離は心的距離、距離の取り方はゾーンとよばれる。

心的距離

お互いにとって快適と感じる心の距離のこと。相手の負担にならずに、お互いの想いを深めていくことができる距離。寂しくならず、かといって相手の心に踏み込みすぎない距離

ゾーン

空間としてあいている物理的な距離と親密さによって近くなる心理的な距離の2つの関係性から、他人に対する距離の取り方。4つに分類。                           

1.密接距離(インティメットぞーん) 0cm~45cmの範囲、相手の身体に触れることができる     距離のため、家族や恋人などかなり親しみを感じている近しい相手しか入ることが許されない。          

2.個体距離(パーソナルゾーン) 46cm~1.2mの範囲、手を伸ばせば届くほどの距離。ここには親しい人や友人など。 

3.社会距離(ソーシャルゾーン) 1.2m~3.6mの範囲、仕事上やよく知らない人とやりとりする時、ストレスにならない距離。

4.公衆距離(パブリックゾーン) 3.6m以上、講演、イベント、会合などで使われる距離。かしこまった相手、社会的、公的な関係の相手との距離。

 

近接性バイアス

日常的に物理的な距離が遠い人より近い相手の方が親密になりやすいという心理的傾向。物理的な距離が近かったり、相手と対面する時間が長かったりすると、相手に対して好意的になりやすい傾向。

 

ヤマアラシのジレンマ

 

 

相手とほどよい距離を探る時、探る状態についての用語。                   学者ショーペンハウアーの寓話から、そうよばれている。2匹のヤマアラシが寒い夜、寒さに耐えかね、身を寄せ合って温まろうとしますが、お互い相手の身体にハリが刺さってしまうので、身体をくっつけることができず、何度もくっついたり離れたりを繰り返し、相手を傷つけず温め合えるちょうどよい距離を見つけたという話から、お互いどこまで歩み寄れるのか、譲歩したり妥協したりしながらそれを探る状態。

人と人との間での距離感を探る状態に関する用語であるが、会社と会社の間など、様々な関係性において使うことは可能だろう。

 

フィーリングの二重性

つかんで引っ張る、つかんだまま離さないという仕草から、つかまれた相手は、触れ合いたい、相手との物理的な距離を縮めたいという相手の願望を敏感に察知し、間接的な触れ合いから、相手が心の触れ合いをもっと親密にしたいと思っているのだという気持ちを感じ取る状態。心理学者のヴァ―ガスによる。触れ合いによって肌で感じることと同じように、触れ合っていなくても感じるという意味。

 

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