4月25日、北朝鮮の平壌で“過去最大”規模という軍事パレードが開かれ、その映像が公開された。
金正恩総書記の白い軍服が、ライトに照らされ一層白さを増している。 この服は“元帥服”といわれ、公の場で初めて着用したのだそうだ。
これまでとは違う、自分のステージがさらに上がったということを示すための「印象操作」だろう。
2012年4月、初めて公式にスーツ姿を公開した時もそうだが、金総書記は印象操作に服装をよく用いる。 祖父と同じような服を着て、帽子をかぶる姿を見せるのは、自身を祖父と重ね合わせるためだといわれている。。
元帥服の着用は、メディアの報道によると、政権10周年の記念すべきパレードで、北朝鮮を自称「核保有国」に引き上げた功績を誇示するものだとか。 この服装によって、確固たる地位と実績を築いてきたと内外にわかりやすく示したといえる。
元帥服だけでなく、「必要ならば専制的に紛糾する」という発言も、敵にひるまず、譲歩することもないリーダーであること、北朝鮮をそのような国に発展させてきたということを示したのだろう。
それ以上に気になるのは、今年に入ってから北朝鮮が行っているハリウッド的な演出やカメラークや編集による映像効果だ。
ただ映像を情報として流しているだけでは、古い体制と変わりがなく、民衆の心を引きつけられないと思ったのだろうか。使われたのは「トランジション効果」だ。
「トランジション効果」(transition effects)
トランジション効果によりアピール性が高くなる。
3月25日に朝鮮中央テレビが公開した新型ICBM・大陸間弾道ミサイル「火星17型」の発射映像には、ズームやスローモーション、カットなどの編集技法がふんだんに盛り込まれ、見ている者の目をひきつけ、飽きさせず、その意図や意味がわかりやすく伝わるように作られていた。
ミサイルの格納庫が開き、そこからスローモーションで歩いて出てきたのは黒い革ジャンに黒いサングラスの金総書記。自分が先頭に立っている、支配しているというアピールだろう。
トランジション効果により好感度やインパクトが強くなる。
今回の軍事パレードの公開映像は2時間半。
ミサイルなどがズームアップ、人のいない静かな平壌に街に、走っている兵士たちの映像が入る。
軍隊ごとに並んだ兵士たちのカットが切り替わり、陽をバックに戦闘機へと進んでいく兵士たちは ファストモーションだ。
1人のパイロットの顔がアップになってフレームサイズが変わり、彼はサングラスをはずす。
夜の光の中、戦闘機に乗り込もうと歩くパイロットの姿はスローモーション。
これらによって映像に対する興味や関心が高くなり、好感度がアップ、インパクトも強くなる。
新しさ、活動的、積極的、進歩的な印象が強くなり、金総書記が伝えたかったメッセージが伝わりやすくなるよう工夫されている。
北朝鮮は変化している、進歩している、強大になっているとアピールしたいのだろう。