このところず~っと地を這うような支持率だった岸田政権。 下がることはあっても、上がることはなかった。
なのに突然、いや本当に突然、何が起きたのか支持率がアップしたと報じられたのだから驚いた。 前回より7.0ポイント上昇と報じたJNNの世論調査。
正直、なんにもアップするような材料はない。 この状況で、いったい誰が、何ゆえ支持に回ったのか? 裏金問題は中途半端。 森元首相への聴取は首相が電話で簡単に済ませ、「確認されず」「記録なし」で終わり。
政治資金規正法の改正案にいたっては、自民党が一番甘い案を出す始末。 連座制は”いわゆる”連座制になり、政策活動費は議員が使途を党に報告するらしいが、公開方法不明。政治資金パーティ券の購入者公開基準もまだ決まらない。
いったい首相はどうするつもりなのか。 世間の声を前に発揮されているのは類まれなる鈍感力だ。
支持率アップにつながるような材料を探してみると、思い浮かぶのは4月10日に米ワシントンの上下両院での議会演説でのあの得意満面な笑顔ぐらい。 自虐ネタで笑いを誘い、米国に阿ったスピーチでスタンディングオベーションを受け、日本国内ではありえない称賛を浴びた岸田首相。
5月からの外遊は、ワシントンほど大きく取り上げられなかったから、この外遊で世論が動いたとは考えにくい。
それより問題は全敗した衆院3補選の結果ではないだろうか。 島根1区では議席を奪われ、他の2つは候補者すら立てられず、立憲民主党に議席を奪われた。岸田首相がここで衆院解散なんて行ったら、自民党は惨敗することが目に見えていた。
しかし、だ。
立憲民主党が与党になって大丈夫か? という不安の方が、岸田首相がこのまま続けるよりよっぽど大きい。
首相は変わって欲しい。だが政権交代はちょっとね。
しょうがないから、自民党を応援するか・・・。
中には、岸田首相もなんとかやっているんだから、応援してやるかという「アンダードッグ効果」によって動かされた人がいるかもしれない。
この効果は、不利な立場や劣勢な状況にいる人、弱い立場にいる人に対し、つい応援してしまうという心理傾向のこと。 選挙戦終盤で、「最後のお願いです」と声をからして頭を下げる候補者が気の毒になり、つい1票を入れてしまうのがこの効果。
中には、岸田首相はこのところ頑張っているよと考える奇特な人が「レモネードの法則」で、支持に回ったかもしれない。
これは使えないレモンを与えられたなら、レモネードを作ろうという意味。 使いものにならないような粗悪品や失敗作でも、アイデアや工夫次第で、新たな価値を生むものに変えられる、かもしれない。ネガティブな状況でも、それを利用してポジティブに変えられる、かもしれない。 岸田政権に至っては、そんな可能性も限りなく低い気がする。
かもしれない、が多くなってしまいましたが、今の自民党のままで、支持率がアップしても国民には碌なことにならない。 せめて支持に回るなら、裏金問題をきっちりはっきりさせ、政治資金規正法改正案が納得のいくものになってからにしてほしい。