黒木華主演の『ゴシップ』持ち歩く辞書に“見つけた”適応的無意識

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黒木華さん主演のドラマ『ゴシップ#彼女が知りたい本当の○○#』(フジテレビ系)

そこで感じた違和感の理由を“見つけた”

 

黒木さんが演じるのは主人公の瀬子凛々子。

大手出版社・クスノキ出版のネットニュースサイト「カンフルNEWS」の編集長。

もとはテコ入れのため、経理部から異動してきた編集部員。

場の空気や他人の気持ちや感情を読むのが苦手で、言いたいことをストレートに言う。

だけど独特の感覚や感性と洞察力、臆することのない行動力を持っているという役。

知りたい本当の○○を見つけた時は、ニヤリと笑い“見つけた”と瞳を輝かす。

鋭さと鈍さを併せ持つキャラ設定。

そんな主人公だから、表情や感情の変化はほとんど見せず、セリフ回しも淡々としたものだけど

それでも凛々子に惹きつけられるのです。

 

凛々子のキャラ設定に、わかりにくい物が2つあるのです。

着るのは濃い緑かモスグリーン系の物ばかり、首にはいつも厚手のマフラーがぐるぐる巻き。

色はさておき、このマフラーにはどんな意味があるのだろう?

人間にとって首は、最も弱い部分の1つ。

その首をなかなか露にしないのです。

心に踏み込まれたくない、弱みを見せたくない、本音を探られたくないと自分の心をガードしているのか、それとも過去の何かを封じているのか、自分の中に気付きたくない何かがあるのか…。

きっとドラマが進むうちに、その理由が明かされるでしょう。

 

もう1つは凛々子が持ち歩く分厚い辞書。

言われた言葉の意味を確認する度に、リュックから取り出される辞書。

その分厚さに、ネットニュースの記者がわざわざ重い辞書を持ち歩くだろうかと思うのだが、

そこは凛々子のこだわり、というキャラ設定なのだろう。

スマホで調べる方がリアルだよなと思うのですが。

 

違和感は、第4話の凛々子が辞書のページをめくるシーンに感じたもの。

辞書が新品みたいにきれいすぎる!

いや、たぶん新品。

めくられていく頁に使った跡が何もない。

一瞬の場面だから、それに気がつかなくても、理由がわからなくても、どこかおかしいと感じるだろう違和感。

「適応性無意識」の範疇かと思う。

 

 

この無意識はティモシー・ウィルソン著の『自分を知り、自分を変える 適応的無意識の心理学』(新曜社)によると、

「意識的にアクセスできないが、判断、感情、行動には影響をあたえるという心的過程」

「環境を即座にそして非意識的に評価し、明確化し、解釈し、行動を開始させる能力」

「自覚されないところで情報を解釈する」というもの。

難しく書いてあるが、つまるところ直観とか勘みたいなものを想像してもらえればいいと思う。

瞬時のうちに意識せずに判断したこと、無意識のうちに決めていることなどがそれに当る。

 

いつも持ち歩き、言葉の意味を確かめる度に頁をめくるという凛々子なら、辞書はボロボロではないだろうか。

編集部員になったから、辞書を持ち歩き始めた、新品を買ったということでもないと思うし

辞書という書物の使い勝手をからいえば、使い古しの愛用書の方が使いやすいはず。

めくられた頁があまりにも白く、きれいすぎてはリアルさに欠けてしまう。

 

重箱の隅を突つくような事だけど、主人公のキャラに合わせると残念な印象の小道具でした。

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この記事を書いた人

臨床心理士、文学修士
経営心理コンサルタント、商学博士
コミュニケーションやボディランゲージの分析、バイアスに関するコンサルティングなどを行っています。
話題の出来事や時事問題から、注目されている人物、ドラマ、映画まで幅広いテーマについて、心理学や行動経済学、リスクマネジメントなどを用いて、独自の視点で分析する記事を書いています。

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