“現状維持バイアス”
このままでいい、今のままでいい、変わらなくていいという保守的な傾向のこと。 変化することに心理的な抵抗があり、現状に固執する傾向。 未知なものや今までと違う新しい変化を受け入れるより、現状を維持しようとする心理的作用。 現状を手放し、変えてしまうと面倒で、マイナス要素が大きいと考える傾向。
この現状維持バイアスが働いていると思うのが、NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」だ。
視聴率はこれまでNHKの朝ドラの中でも至上最低レベルの約16%という「ちむどんどん」。 それに呼応するように盛り上がっているのが「#ちむどんどん反省会」 酷評しようと、させようと、そこには見続けてくれる視聴者がいる。
午前8時15分の放送終了からSNS上で、その日のドラマに対するダメ出しで盛り上がる。 モヤモヤとすっきりしない感情や気持ちを「#ちむどんどん反省会」で発散、解消しているところもあるようで、これがあるから見続けている人もいるだろう。
ここでは脚本家への批判は手厳しい。
「面白くない」「暗い」「期待するのをやめた」「薄っぺらい」「展開が同じ」「見た後に気分が悪い」というネガティブコメントがずらずら並ぶ。
コメントしている人たちは、酷評しながらも、毎日きちんと朝ドラを見ている。 自分たちなりに、この朝ドラに対する思いがあるのだ。 朝ドラ関係の記事も多く、そんな反省会の様子をメディアや伝えることも度々だから、ますます反省会は盛り上がっていく。
反省会で批判をコメントする沢山の視聴者さんたち。 「#ちむどんどん反省会」のために、「ちむどんどん」を見ているようなところもあるかも。 だがこれも、新しい連続テレビ小説の見方、楽しみ方である。
きっとこれからの朝ドラは、今回のように反省会が立ち上がるんだろう。 視聴者参加型の朝ドラってことかな。 あれこれコメントできたり、意見を言い合えるのは、ただ見ていただけとは違う面白さがある。
コメントの中によく見られるのは、 面白くなくてもとにかくこの時間はNHKの朝ドラを見る。 今までの習慣だから。 ずっと朝ドラは見てきたから、我慢してでも見続ける、などなど。 中にはNHKの料金払っているから見る、とにかく最後まで見続けるという意見もあるが…
そんな人たちの内にあるのは「現状維持バイアス」 このバイアスが強いから、とにかくこのままでいい、今まで通りでよい、この時間はこの番組を見ることに決めていると、チャンネルを変えようとはしない。
そして16%とはいえ、その視聴率を支えているのは、こういう視聴者のバイアスだろう。