組織の意思決定は会見で見えてくる・・・小林製薬社長の謝罪会見から

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組織でも個人でも、誰がどんな風に意思決定をするのか、最初からわかっていると対応や対処がしやすいものです。                                        行動経済学的には、意思決定のアプローチにはいくつか方法があるけれど、大きく分けると2つに分類されている。                                      それによってその人の考え方や物事の判断や決定の仕方だけでなく、どんなタイプかがわかってくるというのだから、知っていて損はしないんですよ。

 

ということで、意思決定アプローチによるタイプは2つ。

  1. 最大化タイプ  
  2. 満足化タイプ                                             

 

では、小林製薬の紅麹を含んだサプリメントで健康被害が拡大している問題で、謝罪会見を開いた小林章浩氏らはどちらのタイプか。ごくごく短く、会見をまとめるとこのような感じになります。

 

小林製薬は1度目の会見では、医師の報告を受けてから、製品の使用中止を呼びかけ、自主回収を始めるまでに約2か月かけてしまった。「原因が特定できず、情報が不十分で回収の判断に至らかなった」と釈明した。2か月の間に健康被害は拡大し、死者まで出てしまったため、遅すぎると非難された。
2度目の会見では、被害の原因となった物質について「原因物質は既知の物質」としながらも、「不明確な部分がある」と特定はしなかった。ところが同日厚生省が会見を開き、物質の名前を公表すると、「意図しない成分の候補として情報提供した」と発言を一転させた。
厚労省が会見で公表することを把握していなかったというが、厚労省の会見は小林製薬との共同発表になっていた。

 

2つのタイプを詳しくみてみよう。

最大化タイプ・・・最善の選択をするためにできるだけ広い範囲にわたって詳細な情報を収集し、それによって考えられるだろう選択肢を出し、1つ1つ検討していくというタイプ。               情報収集を最大に行い、できるだけ多くの選択肢を考え検討する。                          そのため意思決定するまでに時間がかかり、情報が多いために迷ったり、考えがまとまらなかったりしやすくなってしまう。                                                       あまりに多くに選択肢を検討するため、もし選択を間違ったらという不安も強くなりやすいというタイプだ。

満足化タイプ・・・ある程度自分たちのニーズを満たすと思われる選択肢をみつけた時点で、情報収集をストップさせるというタイプ。                              効率的に現実的に物事を決めていくタイプだから時間がかからず、素早く判断し決定を下す。                一度これと決めたら迷うことはない。                                     直感に頼る部分もあり、それが本当に最適な選択肢なのかどうかは確定できない面はある。

 

2つのタイプからみると、小林社長は最大化タイプの意思決定を行っている、ということになる。他の役員の話も聞いていると、同じような釈明を説明をしているから、小林社長だけでなく小林製薬自体が、最大化タイプの意思決定を行いやすい、行ってきた組織なのだろう。

製品開発の場合なら、おそらくこのタイプが最適で、小林製薬はこの意思決定アプローチを得意として商品を次々に開発し、業績を伸ばしてきたと思う。

慣れ親しんだ方法に頼ってしまった結果、小林製薬は判断までに時間がかかり決断ができなかった。間違った名前を公表することを恐れ、プぺベル酸の名前を明らかにしなかった、厚労省が会見を開いてしまって後手に回ってしまった。

だけど開発と危機では同じアプローチは通用しない。ということがわからなかったのか、今までのやり方しか知らなかったのか、誰かアドバイスしてくれる人がいなかったのか。

意思決定のアプローチは1つじゃない。被害が広がる前に手を打つために、意思決定アプローチは変えるべきだったでしょう。

 

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