「日大会見」危機管理広報の視点から考えてみた林真理子氏が理事長である本当のメリットとは

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このような会見が行われるとガンガン非難し批判するメディアやWebメディアの一部が、今回はなぜかおとなしい。

8月8日、日本大学はアメリカンフットボール部の部員が違法薬物所持で逮捕されたことを受けて記者会見を開いた。出席したのは学長の酒井健夫氏、副学長で競技スポーツ担当の澤田康弘氏、そして理事長の林真理子氏だ。数多くのメディアや記者が出席した会見は2時間15分にも及んだ。

メディアやネットの反応を見ると、会見自体の評価はすこぶる悪く、以前に炎上した日大アメフト部の会見を彷彿とさせると批判するものもあった。特に批判されたのは、林理事長の会見の中身と、澤田副学長の物言いや態度、そして空白の12日間についてだった。

林理事長と交流のある人物や彼女をよく知る人々は、林氏を擁護しサポートする側に回るコメントを出していた。

 

会見分析を得意とする筆者の元には、あるWebメディアの担当者から会見を分析してほしいという依頼がきた。

ところが、である。会見が終わり、いざ記事を書き始めると、上から待った!がかかったのだ。

記事を書いても流れる可能性はある、依頼がきた時、そんな予感はあった。

 

それからしばらくいくつもあるWebメディアの記事に、日大会見がどのように書かれているのか調べてみた。

新聞社系や出版とは関係ないメディアサイトなどには、批判する記事が載っていたが、有名どころには、それに関する記事がほとんど載っていなかった。

 

他のメディアにも日大の会見の記事について聞いてみた。

すると「うちでは日大の会見を特に取り上げる予定ない」「日大の会見については後追いはしない予定」という返事がきた。

理由はどこも口を濁してはっきりと語らない。

 

だが推測するに、林真理子氏が理事長だからではないだろうか。

 

直木賞作家であり、人気作家でもある林氏は、数多くの出版社から本を出版している。その出版社の多くは、昨今、部数の減少に悩む紙媒体である週刊誌や月刊誌よりWebメディアのサイトに比重かけてきた。

発行部数ではなく、いかにタイミングよく読まれる記事を公開するか、PV勝負がWebメディアのサイトであるが、有名なものには本体が出版社であるサイトが多い。

出版社にとって林氏は日大の理事長以前に、人気作家の先生であり、自社の利益に直結する相手でもある。

 

危機管理には組織などに不祥事や問題が生じた時にダメージを最小限に抑え、事態を素早く収束させるために、危機管理広報という分野がある。ここでは、日ごろからメディアや新聞の記者らと友好関係を築くことが重要といわれてきた。メディアの報道などによって、それ以上マイナスイメージがひどくならないよう、広がらないようにするためである。

という点を踏まえると、林氏は日頃から様々なところと関りがあるといえる。

彼女が理事長であることは、不祥事を起こした日大にとって危機管理広報上大きな意味を持つといえるだろう。

 

だがメディアコントロールはネットで批判されるように最悪だった。

会見自体は「会見した意味がほぼほぼない」と8月13日の「ワイドなショー」(フジテレビ系)でバッサリと切ったロンブーの田村淳さんの意見に賛同する。林氏が日大の学生らより、自身の評価に対してまず気にする発言をしたのは残念だったし、そこでプライドの高さが垣間見えるような仕草を見せて、印象を悪くしたのも残念だった。

澤田副学長は横柄な言葉使いで、質問にイライラしてくると、口先を尖らせたり、頬を膨らませたりと、まるで子供のような仕草を見せた。元検事というが、法廷でもこんな態度を見せていたのだろうか?と訝しくなった。

広報課長という女性の声や話し方は謝罪向きではないし、記者たちの質問に対する仕切りもうまくなかった。

 

 

22日、別のアメフト部員の大麻所持疑惑で、警視庁は再びアメフト部の寮に家宅捜索に入っている。前回の不祥事や会見から何も学んでいないのでは?と非難を浴びた会見を再び行った日大だが、再度の家宅捜索を受けて林理事長が会見するかどうかは検討中だという。

 

 

 

 

 

 

 

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この記事を書いた人

臨床心理士、文学修士
経営心理コンサルタント、商学博士
コミュニケーションやボディランゲージの分析、バイアスに関するコンサルティングなどを行っています。
話題の出来事や時事問題から、注目されている人物、ドラマ、映画まで幅広いテーマについて、心理学や行動経済学、リスクマネジメントなどを用いて、独自の視点で分析する記事を書いています。

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