ロシアのプーチン大統領にみる「プロパガンダ」

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「すべてのプロパガンダは嘘である。たとえ真実を語っているときでも」          これは、ジョージ・オーウェル(英国の作家)が1942年3月、自らの日記に綴っていた言葉である。

まるで今のロシアをそのまま表しているような言葉だ。                        では、ロシアが行っている政治的宣伝活動「プロパガンダ」とはどのようなものなのだろうか?

 

「プロパガンダ」(Propaganda)

 

プロパガンダとは                                           特定の観点を受け手に伝達することであり、その最終的な目的は、受け手がその立場があたかも自分自身のものであるかのように“自発的”に受け入れるようにすること。                                         シンボルや個人の心理を操作することによる大衆暗示や大衆説得を意味する。「プロパガンダ 広告・政治宣伝のからくりを見抜く」(A・プラトニカス、E・アロンソン著 誠信書房)      
                                           一般的には、特定の思想によって、個人や集団に影響をあたえ、その行動を意図した方向へ仕向けようとする宣伝活動の総称と定義されている。

 

プロパガンダといえば、少し前までは北朝鮮の金総書記を思い出したものだ。           ロシアがウクライナに侵攻を始めてからはプーチン大統領の代名詞になっている。        この2カ国でもわかるように、プロパガンダにはネガティブなイメージがつきまとう。         

 

今のロシアでは、どのようにプロパガンダが行われているのか?

 

メディアによる報道手段を自分の統制下に置く

ロシアでは、ウクライナへの侵攻はロシア系住民を助けるため、ウクライナをネオナチから解放するためと正当化して報じられている。またウクライナの戦況がリアルに伝えられることはないという。                             

報道規制はますます厳しくなり、プーチン政権に批判的なメディアは閉鎖に追い込まれ、ジャーナリストは国外へと避難している。

 

 

都合の悪い情報については、フェイクだと主張する。もしくは虚偽情報を真実として報じる。

ブチャの大量虐殺もウクライナによるフェイクだとし、主張している。

だが世界各国は、メディア映像や個人が発信するSNSの情報を分析し、フェイクだと主張しているロシアこそ、虚偽の情報を流していると報じた。                         フェイクや嘘、不正な情報はブラック・プロパガンダである。

プロパガンダが浸透すれば、人はそれをブラック・プロパガンダだと思わなくなる。       

日本のメディアはウクライナ情勢について、アメリカからの情報はどれも正しい情報であるホワイトだと思って報じている節がある。だがそれが全て正しいとは限らず、不正かどうか判断がつかないグレーのこともある。

 

権力者はあらゆる機会をプロパガンダに利用する。

4月27日、プーチン氏は国連のグテーレス事務総長と会見、ロシアのウクライナ侵攻は国連憲章に従っているという持論を展開したという。

イギリスのジョンソン大統領は、グテーレス氏にプロパガンダに利用されないよう警告したというが、報じられたニュースを見ていると、利用された印象しかない。

 

プロパガンダは人間の単純な信念を利用する。

プロパガンは人々の根源的な不安や恐怖、非合理的な希望に働きかける。           人々が見聞きしたい情報、耳触りのいいのニュース、信じたい情報を与え、人は自分が信じたいモノだけを取捨選択して取り入れる。                              権力者や政府、メディアなどの意図と思惑が含まれる情報は、歪んだ世界観を作りだす。    人々はその世界をリアルだと思い込む。

プロパガンダは印象だけでなく、人々の思想や信念などにも影響を及ぼす。

ジョージ・オーウェンは、例えそれが真実であっても、プロパガンダは嘘だと語った。

真実は人によって違うというが、ロシアの真実とは何だろう?

 

 

 

 

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この記事を書いた人

臨床心理士、文学修士
経営心理コンサルタント、商学博士
コミュニケーションやボディランゲージの分析、バイアスに関するコンサルティングなどを行っています。
話題の出来事や時事問題から、注目されている人物、ドラマ、映画まで幅広いテーマについて、心理学や行動経済学、リスクマネジメントなどを用いて、独自の視点で分析する記事を書いています。

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